第16回デジコンサロン
WEBデザインの新しい試み
1997年9月22日 第16回「デジコン・サロン」
- 「WEBデザインの新しい試み」 -
■講師
宮崎 光弘(みやざき みつひろ)
1957年東京生まれ。東京造形大学美術学部卒業。ファッション誌のアートディレクションに携わった後、1986年、株式会社アクシス入社。
1996年、アクシスのグループ化とともに株式会社アクシスマーケットデザイン取締役に就任。同グループのCI、デザイン誌「AXIS」のアートディレクションの他、グラフィックデザインを中心にさまざまなプロジェクトを行う。
最近ではペーパーメディアのデザインに加えてマルチメディア関連のデザインも
数多く手掛けている。
インターネット上のWEBデザインとしては、インターネットエキスポ日本テーマ館「sensorium、連感」のアートディレクション、マイクロソフト社の「MSN日本版」の基本画面デザイン開発、MSN、NTT共同制作の「Sound
Explorer」、NTTの「Global
Card」プロジェクトのアートディレクションなどがある。
講師:宮崎 光弘(みやざき みつひろ)
■時代を先取り「デザインのある生活」を提唱するアクシス
株式会社アクシスは、1981年9月に「デザインで生活を豊かにしてゆく」というコンセプトで設立されました。今でこそ「デザイン」という言葉は一般的ですが、当時は美術のギャラリーはあっても、デザインのギャラリーはない時代でした。そこでアクシスは、コンセプトビルとして洗練されたスペースを提供するとともに、インテリアや生活雑貨を中心とした直営店の経営、ギャラリーでのイベントの運営などを通して、一般の方からプロフェッショナルの方までの総合的なニーズに応え、一歩先ゆく多彩な商品やデザインを提案し続けています。
昨年4月には分社化し、次の2社を設立。「株式会社 アクシス
マーケットデザイン」では、「マーケットをデザインする」という理念を基に、企業に対してのマーケティング戦略からデザイン開発まで手がけています。「株式会社アクシス
パブリッシング」は、世界的に認知度の高いデザイン雑誌『AXIS』をはじめ、デジタルを使いこなすプロフェッショナルのためのビジネス雑誌『E-planner』、電子出版『infobank』などを制作しています。
■Webデザインワーク
○「SENSORIUM」:*アルスエレクトロニカPrix’97 NET部門で金賞受賞
「SENSORIUM」とは「世の中を知覚してゆく」意味で名付けられ、「インターネットでなければできない情報」や知覚の新しい表現「ネットワークは生きている!」ことを、直感的に楽しめるようなシステムを提供しています。CD-ROMとの決定的な違いは、インターネットは日々更新されるものであり、それをデザインにどう活かすかということです。例えば、データが更新されるごとに「球根が育ち花が咲く」過程をビジュアル化したり、更新日を満月から新月に至る「月の満ち欠け」で表現するなど、変化のとらえやすいモチーフでデザイン構成を行っています。
*アルスエレクトロニカ
主催はリンツ市とオーストリア放送協会、電子芸術のための国際コンべンション
・BREATHING EARTH:地震データのビジュアライズ
過去2週間に発生した世界各地の地震情報のデータを、数秒間(2日/sec)に圧縮し、地球の息吹を感じさせるアニメーションで表現しています。
・WEB HOPPER:インターネットの交信図
日本からのインターネットが、現在地球のどこからどこへ経由してつながっているのかを、動線によって視覚的に見ることができます。
○Global Card
Project(G-Card):インターネット版グリーティングカード
テキストだけの味気ないe-mailではなく、メッセージにイラストやライブ映像、音楽もそえたカードを贈ることができます。このプロジェクトには、インターネットは心を結ぶメディアとして、思いや感性を世界中で伝え合ってほしいという願いがこめられており、送られたカード1枚につき1円がユニセフへ寄付されています。
○Sound Explorer「いま、世界の音をきこう!」:音の探検隊
読む・見るという従来のコンテンツにはない「音を聴くだけのサイト」「小学生にも楽しめるサイト」として企画され、RealAudioより世界の様々な音が楽しめます。
・「世界の音」—
東京(六本木)北海道(静内の牧場)西表島(ジャングルの奥)ロサンゼルス(郊外の別荘地)パリ(シャンゼリゼ)からの中継音声が届きます。
・「世界の音+チャット」—
世界各地のライブ音を聴きながら、同じようにリアルタイムの経験をしている他のネットワークユーザとテキストチャットが行えます。
・「朝の音・夕暮れの音」—
実際の地球の運行を計算し、世界約30カ所の中から、現在の朝と夕暮れを迎えている場所の音を聴くことができます。
・「音の24時間」—
井の頭公園(東京)と西表島での1日が、さまざまな音の風景の移り変わりとして聴くことができます。
・「クイズの部屋」—
3週間ごとに音のクイズが出題されます。参加者は、毎日新しい音のヒントを聴き、投稿型のフォーラム形式を通じて答えを探っていきます。
これらの音は、日本のSt.GIGAや英国のThe BritishLibrary National
Sound
Archive等の協力を得ています。また、今後はPHSによる中継を計画しています。
■コンピュータでデザインするとき
コンピューターをツールとしてデザインするときに、デザイナーが比較的まちがいやすい概念として踏まえておくべきことがあります。それは、モニターでシミュレーションしたモノと実際にでき上がるものには相違があるということです。例えばカレンダーであれば、作品は、演出ためのBGMや72dpiの解像度で効果光を受けて映っているモニター画像ではなく、結果はあくまでも紙です。印刷のインクの感じや滲み方、紙の質感など把握したうえで「アウトプットでどう責任を果たしてゆくか」ということを常に考えることが重要です。
■インタフェースデザインとインタラクションデザイン
インタフェースというのは、画面のボタンなどをデザインすることですが、我々が重点的に考えていることは、ユーザーがどういう体験をして、どういう反応を示すかというインタラクションデザインです。つまり、ユーザがクリックしてからの待ち時間や、画面への期待感は何か、ということを想定してデザインしています。
■今後のWebデザイナーに求められる資質について
雑誌の制作と同様に、基本的には「読者はどのような目の動きをするか、何を求めているのか」という意識を持ち、デザインに音声や画像が加わっても「どのような経験を楽しんでもらえるか」という視点に変わりはありません。DTPは経験していてもHTMLが書けないからインターネットやCD-ROM制作の仕事ができないというのではなく、「クライアントからのフィロソフィーをどのようにユーザーに伝えてアウトプットしてゆけるか」それが大切であると考えています。これは、紙・空間・建築・プロダクト・インダストリアルデザインなど、どの分野にも通じて感じることです。
■関連リンク
http://www.axisinc.co.jp
http://www.sensorium.org
http://g-card.ntt-ad.co.jp
http://explorers.jp.msn.com
主催:ニッポン放送 F.I.R.E.事務局
後援:コンパック株式会社
協賛:株式会社アクシス