第15回デジコンサロン
PHSとモバイルコンピューティングの可能性


1997年8月22日 第15回「デジコン・サロン」

- 「PHSとモバイルコンピューティングの可能性」 -

■講師

小林 忠男(こばやし ただお)

NTT中央パーソナル通信網株式会社 取締役 経営企画部長

昭和24年生まれ 東京都出身。


講師:小林 忠男(こばやし ただお)

■急成長するPHSの普及

PHS(Personal Handyphone
System=簡易型携帯電話)は、95年7月にサービスが開始され、現在はNTTパーソナル、DDIポケット、アステルの3グループ28社。
当初の「加入台数が500万を越えるのに4年はかかる」という見込みをわずか2年弱で達成し、97年7月は685万台、8月には700万台を越えるであろうという勢いで発展しています。しかし、当時の端末価格や回線料とは条件や環境がちがってきており、最近は伸び率も緩やかな増加の傾向にありますので、今後の可能性にとりくみながら、PHS独自の新たなポジションを確立したいと考えています。

■お客様の構成について—女性ユーザーの半数が10代

2年前の統計では、男性が全体の7割強を占めていたのに対し、今年6月では「男性53.9%、女性46.1%」と男女間の格差がなくなってきています。また、年齢の分布では10代~30代のユーザーが圧倒的に多く、女性では8割を超え、男性は7割弱。逆に40代~50代においては、男性が女性を若干上回る数値が出ています。

■NTTパーソナルの開発におけるPHSの特徴

<シームレス・ワールドの展開>— 屋外~家庭~オフィスへの拡大
1台のPHS端末で、街中だけでなくどこにいても利用することができます。家庭では、ホームアンテナを設置することにより家の中でPHSを使用することができ、加入されている電話回線にホームステーションを接続すれば、コードレスホンの子機としても使えます。また、オフィスではビル内用基地局や事業所用コードレスシステムの導入により、会社の内線にも対応できる幅広い利用が可能です。PHSの番号を2つ持ち、プライベートとビジネスを区別することもできるほか、1台の端末で、これまでお使いの自宅やオフィスの番号と合わせた4~5個の番号を使って発信着信ができるという、さらにグレードアップしたサービスを提供しています。

<高品質な音声 + 高速なデータ通信 + 文字メッセージ>—1台3役
この春から32kbps(実効伝送速度29.2kbps)が実現されたことにより、音質面では通常の電話とかわらないクリアな通話ができ、インターネットや画像転送を行う際には、携帯電話(9600bps)に比べ、約3倍の速さで伝送されます。また、従来のポケットベル機能を持つ「きゃらメール」は70文字まで送信でき、特に若いユーザーに人気があります。端末の仕様については、発売中の312s機種が「80g、68cc、連続通話時間6時間、連続待受時間550時間」と小型軽量化が進んでいます。無線のモジュール自体は20cc位ですから、バッテリーなど改良の余地はありますが、今後はザウルスやカシオペア、PDAなどへの組込みも検討しています。

■東京医薬品におけるモバイルコンピューティングシステムの実例

営業マンがPDA(専用ソフトIBMモバイルエージェント搭載の「カシオPA-100」)とデータカードを持ち、PHSで受注センターと直接やりとりをすることにより「リアルタイムでの在庫確認や受発注業務」が行なわれています。また、配送センターへ送られた受注情報をもとに翌日配送の手配が可能になるなど、作業効率が大きく改善されるだけでなく、お客様の声が即座に反映されています。

■PHSの新しい可能性と期待

現在は音声中心のコミュニケーションが主体ですが、ビジネスに限らず、エンターテイメントやショッピングなどPHSには幅広い用途への展開が期待されています。

<高品質音楽と情報サービスの実用化実験>—PHSでステレオ音楽を楽しむ

NTTが開発した高音質音楽圧縮技術「TwinVQ」をベースに、32kbpsのPHSデータ通信サービス「PIAFS」を使って提供される情報システム。ユーザーはPHSと小型軽量の専用アダプタを使ってセンターのサーバにアクセスし、好きなジャンルの音楽番組を選んで聴くことができます。通常の放送が一方通行であるのに対し、オンデマンドで曲を選択できる点がポイントです。液晶ディスプレーには歌詞などの文字が表示されますから、カラオケへの利用、CDの新譜紹介やアーチスト情報、タウン情報や占いなどさまざまな生活情報もキャッチできます。今後はモニターからのデータをもとに、技術検証やコンテンツの評価、利用料金の設定など検討したうえで、アダプタから直接注文を受けつける通信販売など商用化への実現を図る予定です。

<位置情報提供サービスの実用化実験>—居場所をサーチ

「12万の基地局」と「1台のPHS公衆基地局がカバーするサービスエリアが小さい」という特性を生かし、現在位置する情報をセンターを経由して提供するシステム。あらかじめ指定された時間間隔で自動的に情報を提供することもできます。ビル内に基地局がある場合にはビルの何階にいるかまで判別でき、地下鉄乗換駅などの構内では各ホームごとの特定が可能となります。徘徊老人のチェックやより詳しく近いエリアのタウン情報が流せるなど、今後の有効性やニーズの拡大に期待が高まっています。

■PHSの国際展開

東南アジアを中心に導入サービスを展開中で、この10月にはバンコクで日本と同様のサービスが開始されます。今後はインドネシア、フィリピンでの商用化が計画されており、いずれは中国本土まで拡大してゆきたいと考えています。また、米国や欧州での展開も検討を重ねています。

■関連リンク
http://www.nttphs.co.jp(

主催:ニッポン放送 F.I.R.E.事務局

後援:コンパック株式会社

協賛:コンパック・メディアサロン